大阪大学数学 2019 理系第2問

こんな質問が届いたので、ちょうど時間が空いたタイミングでやってみました。

今年の阪大理系数学の大問2の解説をお願いします! 大数や速報を見てもしっくりこないんです。、

問題

問題は以下のようになっています。

自然数 \displaystyle a, b に対し、

\displaystyle w=\cos \frac{a \pi}{3+b}+i \sin \frac{a \pi}{3+b}

とおく。ただし、 \displaystyle i は虚数単位とする。複素数 \displaystyle z_n (n = 1, 2, 3, ...) を以下のように定める。

\displaystyle z_{1}=1, \quad z_{2}=1-w, \quad z_{n}=(1-w) z_{n-1}+w z_{n-2} \quad(n=3,4,5, \cdots)

このとき以下の問に答えよ。
(1) \displaystyle a = 4, b = 3 のとき、複素数平面上の点 \displaystyle z_1, z_2, z_3, z_4, z_5, z_6, z_7 をこの順に線分で結んでできる図形を図示せよ。
(2) \displaystyle a = 2, b = 1 のとき、 \displaystyle z_{63} を求めよ。
(3) さいころを 2 回投げ、 1 回目に出た目を \displaystyle a , 2 回目に出た目を \displaystyle b とする。このとき \displaystyle z_{63} = 0 である確率を求めよ。

サトゥー

うわ、複素数だ、やりたくね〜〜

というくらいには複素数について苦手意識が染み付いてしまった私ですが、まぁリクエストもあるし解いてみましょうということで頑張りました。

 

結論から言うと、数式がパッと見複雑そう(実際はそうでもないが)かつ計算が面倒なので、計算ミスを恐れて僕なら (3) は捨てます。少なくとも (2) までは全体像がみえなくともゴリ押しで解けるので、15 ~ 20分くらいで確実に (2) まで解ききって後回しがよい気がします。

漸化式から \displaystyle z_n が見えて、 (3) もやるべきことが分かっていたら、数え上げ直前までやって後回しでも良いかも。時間は奪われますが、方針が見えればあとは計算するだけなので、他とのバランスを気にしつつ落ち着いて取りたいです。

 

複素数の4つの手

問題に役立つかは微妙ですが、複素数平面についての基本的な知識を簡単にまとめてみます。

自分は複素数平面絡みの問題に対する基本的なアプローチを次の4つに分類しています。

そのまま(数式的に)

実数条件、純虚数条件とか、あとは方程式系の処理に使ったりしますね。解と係数の関係とか。
\displaystyle |z|^{2}=z \overline{z} なども重要ですね。

そのまま(図形的に)

複素数をベクトル的にみて、同一直線上にあるとき、垂直なとき、平行四辺形をなすとき、、などの条件をベクトルに近い表記で表します。

また、形状決定の問題とかでこの見方が重要になったりします。

極形式

ド・モアブルとか、等比数列の和に帰着させたりとか、ですね。偏角argの処理も重要です。
\displaystyle z=r(\cos \theta+i \sin \theta) \quad (r>0)
極形式を利用すれば「回転 + 拡大」の2情報を効果的に扱うことができます。

成分表示

最終手段ですね。\displaystyle z=x+y i に帰着させます。\displaystyle (x=\frac{z+\overline{z}}{2}, y=\frac{z-\overline{z}}{2})

 

ざっくり「4つの手」が分かったら、あとは標準的な問題を解いて典型的な発想を学ぶのがよいかと思います。

 

漸化式を解ける形に

三項間の漸化式を解くいつものように変形してみると、次の2式が得られます。これができれば問題の全体像は見えるはずです。

\displaystyle \left\{\begin{array}{l}{z_{n}+w z_{n-1}=z_{n-1}+w z_{n-2}} \\ {z_{n}-z_{n-1}=-w\left(z_{n-1}-z_{n-2}\right)}\end{array}\right.

上の式が定数数列、下の式が等比数列の形になっているので、一般項を求めて計算していくと、

\displaystyle (1+w) z_{n}=1-(-w)^{n} が得られ、結局次のように \displaystyle z_n の一般項が求められます。

\displaystyle z_{n}=\frac{1-(-w)^{n}}{1+w} \quad (w \neq -1)
\displaystyle z_n = n \quad (w = -1)

これは後ほど (3) で使うとして、 (1) からみてみましょう。

(1) を考える

(1) はぶっちゃけると漸化式に代入して \displaystyle z_7 まで求めれば良くて。何も考えずとも愚直に計算処理すれば解けます。(僕なら多分試験会場ではまずそうします)

色々アプローチはありますが、たとえば「回転 + 拡大」の形にすることを意識すると次のように変形できます。

\displaystyle z_{n}-z_{n-1}=w\left(z_{n-2}-z_{n-1}\right)

よって、点 \displaystyle z_n は点 \displaystyle z_{n-2} を点 \displaystyle z_{n-1} 中心に \displaystyle |w| = 1 倍し、 \displaystyle arg(w) = \frac{2\pi}{3} だけ回転させたものになることが分かります。

まぁそんな感じで。答えはこんな図になります。

(2) を考える

このとき、 \displaystyle w = i ですから、漸化式から一般項を求めた人はそれで終了。

求めてなくとも、先程同様の回転拡大のアプローチで、今度は正方形を描くことが分かりますから 4 で割ったあまりを考えればよいわけです。周期とあまりはしばしば対応させることができるので、選択肢になかった人は意識しておきましょう。

(3) を考える

さて (3) です。

\displaystyle z_n の一般項

\displaystyle z_{n}=\frac{1-(-w)^{n}}{1+w} \quad (w \neq -1)
\displaystyle z_n = n \quad (w = -1)

から、 \displaystyle z_{63} = 0 となるのは上の式(つまり \displaystyle w \neq -1 )のときで、 \displaystyle 1-(-w)^{63} = 0 が成り立てば良いことが分かります。

偏角 arg を考えると、 \displaystyle 1-(-w)^{63} = 0 つまり \displaystyle w^{63} = -1 となるのは、

\displaystyle \frac{63 a}{b + 3} = (奇数) となればよく、\displaystyle w \neq -1 から \displaystyle \frac{a}{b + 3} \neq (奇数) となるものを除外すればOKです。あとは36通りだし、全部根性で数え上げで。

ということで、 \displaystyle \frac{63 a}{b + 3} をすべてのa,bの組について調べてください。7通り出てくるので答えは \displaystyle \frac{7}{36} です。

振り返ってみると

特別難しい!っていう問題ではないですが、複素数苦手な人は完全に手詰まりって感じでしょうかね。僕も受験生の頃複素数苦手だったので気持ちわかります。発想自体は典型的なものなので、頭に叩き込んでしまうのが早い気がします。

こういう計算が細かいものは僕は試験場で後回しにすることが多いです。単純に解くだけなら慣れていれば 20 分程度で可能でしょうが、ぼくは 30 分くらいは取りたいかなという感じ。(もちろん数学能力が圧倒的に衰えているので試験では解けないでしょうねきっと)

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